多数の賞を受賞!ドキュメンタリー「ジョン・バティステ:アメリカン・シンフォニー」
ジョン・バティステというアーティストをご存じでしょうか?
彼はアメリカ出身のミュージシャンで、他にもバンドリーダーやシンガーソングライターなどいくつもの肩書を持っています。彼の生み出す音楽はジャズを始めとしてR&Bからクラシックまで幅広く、素晴らしい音楽の才能を持つアーティストです。
そんな彼が音楽に向き合う様子を、プライベートに密着しながら制作されたドキュメンタリー作品「ジョン・バティステ:アメリカン・シンフォニー」は数多くのノミネートや受賞したことで注目を集めました。
彼がどのような環境でどんな思いを込めて音楽作りに向き合っているのか、作品を通して伝わってきたことをまとめてみました。
交響曲の作曲に挑戦
音楽の最高峰グラミー賞で最優秀アルバム賞を受賞したこときっかけに、オーケストラを交えた交響曲の作曲に挑戦するあいだの1年間を追っています。
動画の冒頭には、ジョン・バティステが最多11部門にノミネートが発表されたときの様子が。ジョンのやさしいピアノの音色と合わせて賞の名前が次々と読み上げられていきます。
自分の作ったものが世界に評価されるとき、どんな気持ちになるか想像できますか? ジョンも発表で名前が呼ばれたときは自然と笑顔になり、大喜びというよりは「信じられない!」という表情。いい音楽を生み出した自信があっても、やはり大きな賞をもらったらはじめは実感がわかないのでしょう。
心から音楽を愛する彼は、そこにあるもの全てが音楽として生かせるのだとか。素敵な考え方ですよね。
2022年を目標に、一夜限りの公演で演奏するシンフォニーの作曲を決めたジョン。たくさんのセクションに分かれている曲を考えるのは、楽器の知識やそれぞの重なってくるメロディー、そして伴奏など色々な事を考えなくてはならないので、きっとそう簡単なものではありません。1人ではできないので、協力してくれる人員の確保や、皆での音合わせのスケジュール調整なども必要です。
多くのジャンルを手掛けてきたジョンでも、シンフォニーをオリジナルで作り上げるのにはかなり苦戦する部分もあったということが、このドキュメンタリーを通してわかります。
彼は音楽だけではなくメディアにも出演し、空いている時間には一緒に音楽を作る仲間たちとミーティングを行ったり、少しずつ音を聞いて練習をしながら作曲をしたりと、とにかく忙しそう!
忙しくても音楽に携わっているときに笑顔を絶やさないのはジョンの素晴らしい長所であり、そんな彼が作る音楽だからこそたくさんの人の心にも響くのでしょう。
パートナーの病気
ジョンのパートナーのスレイカは、ジョンと違う分野でアーティストとして活動し、作家として文字と言葉で読者に色んなものを届けています。特に、新聞に掲載されるほどの人気コラムには自身の病気との戦いの日々について記していたそうです。
22歳という若さで白血病を発症してしまった彼女でしたが、病気が分かる前からジョンとは知り合っていて、お互いの独創性に惹かれ合っていたのだそう。全てを前向きに捉える2人だからこそ何かあったときは支え合いながら治療が成功し病気は寛解。
しかし10年の時を経て、寛解したはずの白血病が再発してしまったのです。ハイリスクではあるものの2回目となる骨髄移植をすることになったスレイカ。それに向けて最初の化学療法を受ける日は、奇しくもジョンの音楽が11部門ノミネートに決まった日と同じでした。
音楽のパワーに溢れているジョンの音楽が評価された日なら、彼女が前向きに治療に臨めるように考えられる力となったのかもしれませんね。
しかし治療にはいいこともあれば辛いことも……。基本的には前向きに生きている2人ですが、ときには寄り添い合って落ち込んでしまう日もあったようです。
しかしとても幸せなことも! 闘病中に2人は正式に夫婦となり、友人たちが見守るなかで笑顔がいっぱいの結婚式を挙げるとっても幸せなシーンはこの作品で1番の見どころですよ。
細菌感染を起こさないために、家族ですら接触を控えなければならない辛い闘病中にジョンは、スレイカが安心して過ごせるようにと音楽を送ったのだとか! 他の誰もできない素敵なプレゼントを聴きながら、会えなくても彼をそばに感じられたらとても心強いですよね。
スレイカに送った曲は作品中でも聴けるので、ぜひどんな音楽を届けたのかご確認ください。
どんどん出来上がる奇跡の曲
曲を作り始めた頃は、いくつかのフレーズが出てくるだけでしたが、中盤になってくると徐々に曲としてのかたちが見えるようになってきました。どんな曲になるのかとっても楽しみで、その現場にいる人たちも、一緒に作り上げていく曲がどんなものになるのかワクワクしている様子♪
曲作りの合間でもジョンはイベントに出演して、忙しい日々を過ごしています。その合間には闘病中で頑張っている妻との連絡は絶やすことなく続けていて、いよいよ骨髄移植が行われる日がやってきます。当日スレイカの隣にはジョン、ビデオ通話で友人数人とも繋いでいて、なるべく明るい環境を整えながらも無事に終わるように祈ることしかできない、辛いジョンの姿にも密着していました。
音楽の仕事が大好きな彼でも、スレイカのことが心配で仕事を投げ出したい日もあったようです。
さらにそういうときほど音楽に没頭してしまい、なんと3日間寝られないことも……。
曲作りは時に孤独で、完成まで見え隠れするプレッシャーをなんとか乗り越えながら作らなければならないこともあるのだと、ジョンの姿を見ていて感じます。
その後スレイカの骨髄移植は無事成功し、またここから2人で支え合って生きていく生活に戻り、少しだけジョンの表情のくもりが減って一安心。
ただ好きな曲を作るだけではなく、何かを伝えるために作る。とても深く、作る人にしか見えない世界を常にジョンは見ながら、これからも誰かの心に響く音楽を作り続けていってほしいと願います。
ストーリーの終盤では無事に「アメリカン・シンフォニー」が完成。彼が時間をかけ、色んな思いを詰め込んだ1曲をぜひ彼の密着を見てから、映像と音楽のどちらも堪能してくださいね。
まとめ
この作品では1人の天才音楽家が、たくさんのものを1つの音楽として生み出すまでの、とても繊細な部分に密着しています。愛するパートナーとのつらい日々も無事に乗り越えて、沢山の人を感動させる曲を生み出したジョン・バティステの人生の一部をご覧ください。
作中に登場するジョンの楽曲も、ぜひ1曲1曲にどんな想いがこめられているのか想像してみてくださいね。
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