「雨を告げる漂流団地」の謎に迫る!のっぽの正体や密かにちりばめられた花の意味も考察!

「雨を告げる漂流団地」の謎に迫る!のっぽの正体や密かにちりばめられた花の意味も考察!

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ジュブナイルファンタジーな青春を描く「雨を告げる漂流団地」のあらすじ

ジュブナイルファンタジーな青春を描く「雨を告げる漂流団地」のあらすじ

近々取り壊される予定の「おばけ団地」と言われた古い団地は、子供たちの秘密基地になっていました。

そんな古い団地でも、主人公の夏芽には思い出深い場所。忘れられず、離れがたく、立ち入り禁止の団地に、密かに通っていました。
お化け団地と呼ばれるがゆえに、立ち入り禁止であっても出入りする子供たち。
ある日、夏芽と航祐は些細なことから喧嘩になってしまい、夏芽が足を滑らせて高所から落下してしまいます。
もうダメだと思った瞬間…その団地は水で溢れ、少年たちは団地ごと大海原に漂流してしまうのでした。
ファンタジーな世界でありながら、少年少女たちのリアルなサバイバル生活には息を飲むシーンばかり。

この世界は一体「何」なのか、夏芽の友達の「謎の少年のっぽ」の正体とは? そして無事に彼らは元の世界を取り戻せるのでしょうか?

監督が描きたかった群像劇とは?個性あるキャラクターのぶつかり合いや、子供ならではの葛藤も

監督が描きたかった群像劇とは?個性あるキャラクターのぶつかり合いや、子供ならではの葛藤も

素直になれない、意見が合わない、思っていることを言葉にできない…。
ちょっとしたすれ違いから起きる、意見の対立や喧嘩ももどかしいものです。
素直になれない気持ちや、相手を思いやってもつい、喧嘩腰になってしまうところなど、子供の頃を思い出してしまうのではないでしょうか。

監督は、ぶつかり合いって喧嘩をしても、もう一度わかり合えたときの気持ちよさを描いてみたかったそう。

何かを決断する時には、他人ではなく自分自身の心と向き合うこと。激しいぶつかり合いを経ての、子供たちの心の成長も丁寧に描かれています。

植物で覆われた不思議な少年「のっぽ」は何者?

植物で覆われた不思議な少年「のっぽ」は何者?

夏芽と航祐と、過ごした日々を離れがたく思っていた団地の精霊が「のっぽ」の正体でした。
そして夏芽と航祐と、ずっと一緒に居たいという気持ちも本物だったに違いありません。
取り壊されることが決まっていることで、のっぽにとってはお別れの時期が迫っていたのです。
建物達が向かう、美しくも儚い先黄泉の国へ。
子供たちはそんな団地が取り壊される前の、ほんのひと時に紛れ込んだだけ。

だからこそ、子供たちだけの力でどうにかできるわけでもなく、のっぽ君の「二人と離れたくない」という想いに縛られていたのでしょう。
巻き込んでしまったと悲しむのっぽでしたが、そもそもは危険な目に遭ってしまった夏芽を助けるため。
のっぽの純粋な思いが、最後まで美しい物語です。

そして日常に戻っても、彼らの過ごした時間は夢でも嘘でもなく、冒険した時間はしっかりとカメラに収められていたのでした。
物は時間と共に朽ち果てても、思い出は消えない。
素敵なことですね。

息をのむほど美しいビジュアル!クライマックスでのっぽに咲いた、たんぽぽと桜の花に込められた意味とは?

息をのむほど美しいビジュアル!クライマックスでのっぽに咲いた、たんぽぽと桜の花に込められた意味とは?

不思議な世界から現実世界に戻るとき、のっぽの頭には2つの花が咲いていました。それは、たんぽぽと桜。
たんぽぽの花言葉は「真心の愛」、「幸せ」そして「離別」。桜の花言葉は「私を忘れないで」。
今まで咲いていなかった花が、別れを決意してから咲き誇ることで、のっぽの決心が手に取るようにわかりますね。

大迫力の映像美も注目のポイント。黒い闇に飲まれそうな心を払拭し、光輝くシーンはとてもまばゆく、目を奪われるばかり。
繊細な煌めき、光の輝きをこんなにも美しく表現できるのか……。と、感動すること間違いなし!

まとめ

日本に伝わる「付喪神」は、長い年月を経た道具などに精霊が宿るというもの。
60年という長い年月を人間と共に過ごした、団地や観覧車などにはそうした心や魂が宿るのでしょう。
物を大切に、そして思い出も大切にしたいと思える、心にジンと染みわたる物語です。
喧嘩したり仲直りしたりと、表情豊かなキャラクター達、そして優しい絵柄と美しいアニメーションに釘付けになる、ファンタジーアドベンチャーです。
子供心を思い出すような心温まる本作品を、是非最後までご覧ください。

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