
天才的な頭脳と8人の強盗団が織りなす「ペーパー・ハウス」世界を熱狂させたスペインドラマ!

カッコイイ良いヴィランを観たいなら、「ペーパー・ハウス」がオススメ!
本作品は翻訳もされシーズン5まで配信されていますが、始まりはスペインの低予算テレビドラマシリーズ。
2017年にスペインのテレビ局でパート1~2まで放送されていましたが、Netflixで配信されると世界中で爆発的な人気に。
世界配信されることで目に留まる人の分母が増えたとはいえ、ドラマのテーマや着眼点、クオリティの高さに驚きです。シーズン5で完結なので、一気に観ることもできておススメです!

あらすじ


教授と呼ばれる謎の男が、かつて犯罪歴のあるその道のプロに声を掛け、8人のメンバーで「24億ユーロ(日本円にして約3,000億円以上)を盗み出そう」とするストーリー。
物語は、教授がこの計画について話を持ち掛けるところから始まります。教授の狙いは、タイトルの「ペーパー・ハウス」を意味する王立造幣局。
主人公のトーキョーがナレーションを担当していますが、物語のキーとなるキャラクターはこの教授。教授が持ち掛けた計画は大胆で大掛かりな為、何年も掛けて戦略を練ってききました。
5カ月掛けてメンバーの育成を行いいざ決行となったとき、早々に予想外のトラブルが発生! ケガ人が出てしまったり、お互いが深い関係にならないというルールを破るメンバーがいたりと、一筋縄ではいきません。
複雑な人間関係が計画を妨害しますが、様々なトラブルに対しても教授はいくつかの手を用意してあり、ギリギリのところで切り抜けていくシーンは爽快!
警察との攻防や読みあい、人質達の勝手な行動に翻弄されるメンバー達。
果たして彼らは、人質を上手く使いながら24億ユーロという大金を手にし、造幣局から脱出できるのか……!?

予想を上回る"強盗内容"


銀行強盗というのだから今現在金庫にあるお金を奪うのかと思いきや、まさか"これから奪う金を刷る"とは誰が想像するでしょうか。しかもその金額は24億ユーロ(日本円にして約3,000億円以上)と桁違いです!
長年計画してきた教授は、集めた仲間に5カ月かけて銀行強盗の計画を覚えてもらうよう話を切り出します。仲間同士であっても個人的な詮索はしないこと、親しくならないことがルール。お互いを詮索しないように、彼らの本名の代わりに「トーキョー」など世界各国の都市の名前が付けられています。
教授が決めたルールはメンバーに周知されていますが、やはり彼らも人間。掟を破るメンバーも出てきます。そうした違反が計画に歪みを生み出すのですから、教授の決めたルールは理に適っているといえるでしょう。
銀行強盗にあたり警察の強行突破を防ぐ役割や、なるべく長い時間建物に立てこもるための手段としても、人質という存在はとても重要です。あるものを盗むのではなく、「印刷する」ための労働力として、人質の力を使うとはなんという大それた計画なのでしょう。
最初は「人質が多いと管理が大変なのでは?」と思いながら視聴していましたが、新札を刷るための労働力や、逃げ道用のトンネルを掘る為の労働力として人数確保したかったのかと、納得!
人質達も命を守る為に勝手に動き回り、混乱を生じさせますが、敢えて大人数を人質とした計画には脱帽です。
人質達に銃と仮面を持たせて強盗側の勢力を大きく見せたり、警察のスパイを炙り出すために協力させたりと、教授の事前準備に抜かりはありません。
しかし、綿密に考えられた計画も、実際にはトラブル続き。次から次へと出てくる問題に、彼らと一緒にハラハラしてしまいます。降りかかる困難に対して、頭脳を駆使して回避していく展開から目が離せませんよ!

教授の信念


「誰のことも傷つけず、大衆に好かれ味方につける。そして血を一滴も流さないこと」という教授の信念。大衆に支持され彼らのヒーローになることが、強盗メンバー達を教育する際、最初に語っていた教授の信念。
誰かを無意味に傷つけたいわけでもなく、単純にお金が欲しいわけでもない。では、教授の目的は何なのでしょうか? 物語が進むにつれて、なぜ教授がこんな大それた計画を思いついたか、真実が明らかになっていきます。

父の想いと夢を継ぐ


教授は、かつて銀行強盗に失敗した父親の夢を引き継ぐために計画を企てます。
強盗という行為は犯罪なので、普通はそんなことをした家族に対して逆恨みしそうなものですが、そこには彼らなりの親子の絆と愛があったのでした。教授は度々記憶の中の父親と会話しています。
信念や計画など、都度対話しているシーンが登場することから、教授の心の中には父と警察、スペイン銀行との確執が伝わってきます。

ピンチとチャンス


どんなに計画を考えていても、ピンチは常にやってきます。そして窮地に立たされることもしばしば。しかしそんなピンチを乗り切って、この作品ではどんでん返しがしょっちゅう巻き起こるので息をつく暇もありません!
犯罪者である銀行強盗に感情移入して観てしまうのは、ヴィランでありながらも一貫した信念があるからかもしれませんね。日常とは異なる世界で、美男美女たちが喧嘩や大人の駆け引きをする姿は、視聴者の興味をそそる題材なのかも。

特徴的な衣装にも注目!


赤いツナギと覆面という特徴的な衣装は、監督のヘスス・コルメナールが強く希望して実現したものなのだそう。スペインらしく、仮面はスペイン出身の画家サルバドール・ダリがモチーフ!
スター・ウォーズの登場人物のように、誰もがその見た目を知っているという印象付けをさせたかったということもあり、そのアイディアは成功したのではないでしょうか。
衣装デザイナーであるカルロス・ディエズによれば、同じジャンプスーツでもキャラクターによって着こなし方が異なるといいます。
確かに顔を仮面で隠していても、しっかりファスナーを閉めている人もいれば、大きく胸まで開いた人、小物の追加や着こなし方にそれぞれの個性が出ているのではないでしょうか。
人質に同じジャンプスーツを着せていることも、実に計画的ですよね!

まとめ

この作品を観ていくと、タイトルの「ペーパーハウス」が秀逸なネーミングだと実感します。紙幣を印刷する場所だけではなく、紙で作った造幣局の模型、紙という薄くて脆い表現などなど……。
ピンチを切り抜ける、危険と隣り合わせのスリリングな本作にピッタリです。サスペンスと思いきや、人間関係が複雑なヒューマンドラマ。知的な教授のキャラクターにハマる人も多いはず!
スリルあり、恋愛有りと、飽きることのない展開が見所です。是非チェックしてみてください。
Netflixシリーズ「ペーパーハウス」独占配信中



